「天津飯」は、希須林の味。
そして父の味。

小澤 孝太 Kota Ozawa 代表取締役

(01) 心も満たされた、思い出の味。

「おーい、できたぞ」って声がして、親父ができたての「天津飯」を持ってきてくれる。甘酢餡のいい匂いと、ワクワクする気持ち。「天津飯」は、僕にとって忘れられないひと皿です。僕が小学2年生の時に、親父が阿佐ヶ谷に希須林をオープンしました。学校から帰るとお店の2階にある事務所で時間をつぶすことも多かったんです。その時によくつくってくれたのが「天津飯」でした。たまに唐揚げがのっていたり、野菜が添えてあったり。とにかく忙しい親父でしたが、そうやって愛情を注いでくれていたんでしょうね。寂しいと感じたことはなかったです。社会人になってしばらくは、希須林を継ぐつもりはありませんでした。でも親父が店を閉めると言った時に、気持ちが変わりました。希須林があってこそ、今の僕の人生があると思うと、自分にできるのであれば継がせていただきたいと思ったんです。

(02) 創業時の想いがすべてのベース。

希須林は日常の食をおいしく、安心できる形で提供したいと始まったお店。化学調味料不使用も、当時から続けています。おいしいと思える味を完成させるには、すごく苦労したそうです。そうやって親父や先輩方がつくってくれたレシピを、基本は受け継いで、進化させたいと思っています。「天津飯」の甘酢餡も、昔からほぼ同じレシピです。希須林の甘酢餡って本当にシンプルなんですよ。お酢と砂糖と醤油しか入っていない。そのバランスが希須林は少し甘め。この味を僕たちはおいしいと思っていますし、希須林らしいと思っています。お店のあり方も一緒ですね。他店舗展開をしているのは、すごく大きく稼ぐためというより、おいしいものをより多くのお客さまに楽しんでもらいたい。同じように考える人が活躍できる場を増やしたい。そう思っているから。時代に合わせて進化する部分はありますが、ベースは創業時の想いを受け継いでいるんです。

(03) アイデアを持ち寄って、
みんなで「安心企業」へ。

企業理念の「安心法人」には、お客さまに安心して楽しんでいただき、スタッフも安心して働ける企業をめざすという意志を込めています。安心して働ける企業というのは、飲食業界の課題でもあると感じています。給料、休日、やりがい、すべてにおいて安心していられて、ここで働いてよかった、ずっと働いていたいと、心から思える会社にしていきたいです。そのためには、きちんと利益を出したり、食材にこだわったり、色々な要素が必要だと思うんですけど、僕だけじゃなく、スタッフみんなで一緒に考えてつくり上げていきたいと思っています。例えば店長は、その店舗の個人事業主のつもりで主体的に運営をしていくというようなイメージ。希須林として一本の軸は持った上で、アイデアや意見を持ち寄る。その方がきっと面白いと思いますし、お店もどんどん進化して、血の通ったものになると思っています。

(One Dish)
小澤孝太のひと皿。

天津飯

酢、砂糖、醤油のシンプルな甘酢餡が、ふわふわの卵をとろっと包む。少し甘めの餡が特徴で、やさしく食べやすい味わい。希須林の定番メニューとして創業以来愛されてきたひと皿。

(Next Person)

特別感を演出する、
新しい看板メニュー。

遠藤 義治 Yoshiharu Endo 麻布台店 料理長